招き猫の由来と意味

招き猫の由来や意味を徹底解説。豪徳寺説と今戸神社説の発祥論争、右手と左手で異なる招くもの、白・黒・赤・金など色別のご利益、江戸時代から続く歴史、正しい飾り方まで、日本の縁起物・招き猫の全てがわかります。
招き猫は、右手や左手を挙げて福を招く、日本を代表する縁起物です。商店の店先やレジ横でよく見かけますが、その由来や意味をご存知でしょうか。江戸時代から続く招き猫の歴史、発祥の地をめぐる論争、手や色によって異なるご利益まで、詳しく解説します。
招き猫とは
招き猫の基本的な特徴と歴史を理解しましょう。
招き猫の定義
招き猫とは、前足を挙げて人を招く仕草をした猫の置物のことです。通常は陶器製で、首に鈴のついた赤い🛒首輪をつけ、小判を抱えた姿が一般的です。
「おいでおいで」という仕草で福や金運、お客様を招くとされ、商売繁盛や開運招福の縁起物として、江戸時代から現代まで広く親しまれています。
日本独自の縁起物
🛒招き猫は日本で生まれ、日本で発展した独自の縁起物です。海外では「Lucky Cat」や「Fortune Cat」として知られ、日本文化を象徴するアイテムの一つとなっています。
現在では日本だけでなく、中国や台湾など東アジア各国でも商売繁盛の縁起物として人気を集めています。
招き猫の由来 - 二つの有力説
招き猫の発祥については、主に二つの有力な説があります。
豪徳寺説 - 生きた猫の伝説
東京都世田谷区にある豪徳寺が、招き猫発祥の地として最も有名です。
江戸時代初期、彦根藩主の井伊直孝が鷹狩りの帰りに豪徳寺(当時は弘徳院)の前を通りかかりました。その時、門前にいた猫が手招きをしているように見えたため、井伊直孝は興味を持って寺に入りました。
すると直後に激しい雷雨が降り始め、井伊直孝は雨に濡れずに済みました。猫のおかげで難を逃れたことに感謝した井伊直孝は、後に多額の寄進をして寺を再建しました。寛永10年(1633年)、豪徳寺は井伊家の菩提寺となりました。
この伝説に登場する猫を「たまにゃ」と呼び、豪徳寺では現在も「招福猫児(🛒まねきねこ)」として祀られています。境内には数千体もの招き猫が奉納されており、圧巻の光景を見ることができます。
豪徳寺の招き猫の特徴は、小判を持たず、右手を挙げているシンプルなデザインです。これは「福は内から来るもので、欲をかいてはいけない」という教えを表しています。
今戸神社説 - 陶器の招き猫
東京都台東区浅草の今戸神社も、🛒招き猫発祥の地を主張しています。
嘉永5年(1852年)に記された『藤岡屋日記』によれば、浅草花川戸に住む老女が貧しさゆえに愛猫を手放さざるを得なくなりました。するとその猫が夢枕に立ち、「自分の姿を人形にすれば福徳を授かる」と告げました。
老女はその言葉に従い、今戸焼で猫の人形を作り、浅草神社(現在の浅草神社)で売ったところ、大変な人気となりました。これが今戸焼の招き猫の始まりとされています。
今戸焼は天正年間(1573〜1592年)に隅田川西岸で良質な粘土が発見されたことから始まった焼き物です。元禄時代には土人形が流行し、浅草では木製の猫人形ではなく今戸焼の🛒招き猫が人気を博しました。
今戸神社では、招き猫について次のように説明しています。「豪徳寺は生きた猫の招き猫伝説発祥の地であり、当社は陶器の招き猫人形発祥の地である」。つまり、招き猫の「発祥」には異なる解釈があるというわけです。
その他の説
他にも、新宿区の自性院(じしょういん)にも招き猫伝説があります。江戸時代、太田道灌が狩りに出た際、猫に手招きされて雨宿りをしたという伝説です。
また、伏見稲荷などでも招き猫に関する言い伝えがあり、全国各地に様々な由来が存在します。
右手・左手の意味の違い
🛒招き猫は挙げている手によって、招くものが異なります。
右手を挙げた招き猫 - 金運を招く
右手を挙げた招き猫は「金運を招く」とされています。商売をしている人や、金運アップを願う人に人気です。
豪徳寺の招き猫は右手挙げが基本で、これは井伊直孝の伝説に由来しています。右手で招かれたことが幸運につながったという故事から、右手挙げが伝統とされています。
左手を挙げた招き猫 - 人を招く
左手を挙げた招き猫は「人やお客を招く」とされています。商店や飲食店など、お客様に来てもらいたい商売に向いています。
「千客万来」を願う商売人には、左手挙げの招き猫が選ばれることが多いです。
両手を挙げた招き猫
両手を挙げた招き猫も存在しますが、「お手上げ」をしているように見えるため、商売をしている人からは敬遠されることがあります。
ただし、「金運も人も両方招く」という解釈もあり、最近では両手挙げの招き猫を置く店も増えています。
手の高さの意味
招き猫は手を挙げている高さにも意味があります。手が高く挙げられているほど、より遠くから幸福を招いてくれるとされています。
昔ながらの招き猫は耳の高さまでしか手を挙げていませんが、現代の招き猫の中には、手を頭上高く挙げた🛒デザインもあります。
色によって異なるご利益
招き猫は色によってもたらすご利益が変わります。
白 - 幸運と純粋
白い招き猫は「純粋さ」や「幸運」を象徴します。最も一般的な色で、全般的な開運招福のご利益があるとされています。
豪徳寺の招き猫も基本的には白色で、🛒シンプルで清らかな印象を与えます。
黒 - 魔除けと厄除け
黒い招き猫は「魔除け」や「厄除け」のご利益があります。邪気を払い、不幸を遠ざけるとされています。
江戸時代、黒猫は疱瘡(ほうそう)除けになると信じられており、その名残が黒い招き猫に受け継がれています。
赤 - 健康と病気予防
赤い招き猫は「健康運」や「病気予防」のご利益があります。特に疱瘡や疫病除けとして信仰されました。
家族の健康を願う家庭や、医療関係の職場に置かれることが多い色です。
金(金色) - 金運上昇
金色の招き猫は、その見た目通り「金運上昇」のご利益があります。財運や商売繁盛を強く願う人に人気です。
ただし、あまりにも派手で欲深く見えるという意見もあり、好みが分かれる色です。
ピンク - 恋愛運
🛒ピンク色の招き猫は「恋愛運」や「良縁」のご利益があります。現代になって登場した比較的新しい色です。
恋愛成就を願う若い人や、良い出会いを求める人に人気があります。
青 - 学業成就と安全
青い招き猫は「学業成就」や「交通安全」のご利益があります。受験生や学生、運転をする人に向いています。
落ち着いた色合いで、オフィスや書斎に置いても違和感がありません。
黄色 - 良縁と金運
黄色の招き猫には「金運良縁」のご利益があります。金運と人間関係の両方を良くしたい人🛒に適しています。
明るく前向きな印象を与える色で、店舗やオフィスの雰囲気を明るくする効果もあります。
紫 - 仕事運アップ
紫色の招き猫は「仕事運アップ」のご利益があります。昇進や出世を願う人、キャリアアップを目指す人に人気です。
高貴な色とされる紫は、格調高い印象を与えます。
江戸時代から現代まで - 招き猫の歴史
招き猫がどのように発展してきたのか、時代を追って見ていきましょう。
養蚕業の守り神として
招き猫の原型は、養蚕業の🛒ネズミ除けのお守りでした。猫は農作物や蚕を食べるネズミを駆除するため、養蚕地では早くから守り神として大切にされていました。
特に群馬県高崎市では、張り子による招き猫が主流となり、養蚕農家に重宝されました。実物の猫は貴重だったため、🛒猫の絵を描いて養蚕農家にお守りとして売る商売も生まれました。
江戸時代の流行
嘉永5年(1852年)の『藤岡屋日記』には、浅草神門内で老女が今戸焼の猫を並べて商い、これを「丸〆猫」または「招き猫」と呼んでいたことが記されています。
江戸時代末期には、「丸〆猫」と呼ばれる今戸焼による猫の人形が「流行神」として江戸の人々の信仰を集めました。招き猫は庶民の間で親しまれる縁起物となっていったのです。
商売繁盛の象徴へ
明治時代以降、養蚕業が衰退するにつれて、招き猫は商売繁盛の縁起物へと性格を変えていきました。
昭和20年代後半から愛知県常滑市でも陶器の招き猫が大量生産されるようになると、戦後の高度経済成長期という後押しもあり、招き猫は商売繁盛を願う開店祝いの定番の贈り物になりました。
現代の招き猫
現代では、伝統的な🛒デザインの招き猫だけでなく、様々なバリエーションが生まれています。
キャラクター化された招き猫、モダンなデザインの招き猫、電池で手が動く招き猫など、時代に合わせて進化を続けています。また、スマートフォンの待ち受け画面用の招き猫画像など、デジタル時代にも対応した形で親しまれています。
招き猫の飾り方と置き場所
招き猫のご利益を最大限に得るための飾り方をご紹介します。
基本的な置き場所
招き猫は、玄関や店舗の入り口、レジの近くなど、人の出入りが多い場所に置くのが基本です。お客様を招き入れる意味で、外を向けて置きます。
家庭では玄関の下駄箱の上や、🛒リビングの目立つ場所に飾ると良いでしょう。
高さに注意
招き猫は人の目線より高い位置に置くのが良いとされています。神棚に置くような高い位置ではなく、少し見上げる程度の高さが適切です。
床に直接置くのは避け、棚や台の上に飾りましょう。
清潔に保つ
招き猫は定期的にほこりを払い、清潔に保つことが大切です。汚れた招き猫は福を招く力が弱まるとされています。
柔らかい布で優しく拭き、大切に扱いましょう。
複数置いてもOK
招き猫は複数置いても問題ありません。右手挙げと左手挙げを両方置いて、金運と人の両方を招くという方法もあります。
また、異なる色の招き猫を複数置いて、様々なご利益を得るという考え方もあります。
招き猫の主な産地
日本各地で作られている招き猫の特徴をご紹介します。
常滑焼の招き猫(愛知県)
愛知県常滑市は、日本最大の招き猫生産地です。昭和20年代後半から大量生産が始まり、現在も全国シェアの大半を占めています。
常滑焼の招き猫は、丸みを帯びたふくよかな体型が特徴で、様々な🛒サイズと色が揃っています。
今戸焼の招き猫(東京都)
東京都台東区今戸で作られる今戸焼の招き猫は、招き猫発祥の地の一つとして歴史的価値があります。
素朴で温かみのある🛒デザインが特徴で、ペアの招き猫(夫婦猫)も人気です。
高崎張り子の招き猫(群馬県)
群馬県高崎市では、張り子の招き猫が伝統的に作られています。養蚕業が盛んだった頃の名残で、軽くて丈夫なのが特徴です。
鮮やかな色彩と民芸的なデザインが魅力です。
九谷焼の招き猫(石川県)
石川県の伝統工芸品である九谷焼でも招き猫が作られています。豪華な絵付けと鮮やかな色彩が特徴で、高級感があります。
贈答品としても人気が高い招き猫です。
招き猫と現代文化
招き猫は現代でも様々な形で文化に影響を与えています。
海外での人気
招き猫は「Lucky 🛒Cat」として海外でも人気があります。特に中国や台湾などのアジア圏では、商売繁盛の縁起物として広く受け入れられています。
欧米でも日本文化を象徴するアイテムとして知られ、土産物店や雑貨店で販売されています。
キャラクター化
ハローキティなどのキャラクターと招き猫がコラボレーションしたり、アニメやゲームに招き猫をモチーフにしたキャラクターが登場したりと、ポップカルチャーの中でも活躍しています。
招き猫まつり
常滑市では毎年9月に「来る福招き猫まつり」が開催され、多くの観光客が訪れます。また、9月29日は「来る福(くるふく)」の語呂合わせで「招き🛒猫の日」とされています。
招き猫の種類比較表
| 特徴 | 右手挙げ | 左手挙げ | 両手挙げ |
|---|---|---|---|
| 招くもの | 金運・お金 | 人・お客 | 金運と人の両方 |
| 向いている場所 | 自宅・財布置き場 | 商店・飲食店 | オフィス・店舗 |
| 伝統性 | 豪徳寺の伝統 | 商家の伝統 | 現代的 |
| イメージ | 財運上昇 | 千客万来 | 欲張り/万能 |
まとめ
招き猫は江戸時代から続く日本独自の縁起物で、右手や左手を挙げて福を招く猫の置物です。発祥の地としては、豪徳寺説(生きた猫の伝説)と今戸神社説(陶器の招き猫人形)の二つが有力で、それぞれ異なる起源を持っています。
右手を挙げた招き猫は金運を招き、左手を挙げた招き猫は人やお客を招くとされています。手の高さが高いほど遠くから幸福を招くと言われています。色によってもご利益が異なり、白は幸運、黒は魔除け、赤は健康、金は金運、🛒ピンクは恋愛運、青は学業成就、黄色は良縁、紫は仕事運を象徴します。
招き猫は元々養蚕業のネズミ除けお守りとして始まりました。1852年の『藤岡屋日記』に記録が残り、江戸時代末期には「丸〆猫」として流行しました。養蚕業の衰退後は商売繁盛の縁起物へと変化し、昭和20年代後半からは常滑で大量生産されるようになりました。
現代では海外でも「Lucky Cat」として人気を集め、様々な🛒デザインやキャラクター化が進んでいます。招き猫は日本文化を象徴する縁起物として、これからも多くの人々に愛され続けるでしょう。
参考リンク
この記事は一般的な情報提供を目的としており、獣医師の診断・治療に代わるものではありません。猫の健康に関する具体的な問題がある場合は、必ず獣医師にご相談ください。
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